移住するなら、
ニセコ町。
人々が互いに助け合う先人の教えと、
厳しくも美しい自然環境。
未来に生きる子どもたちへ、
胸を張って引き継ぐことができるよう、
地域の人々がまちづくりに
参加しているニセコ町。
世界的観光地だが、
開発や経済成長を急がないこのまちに、
若いファミリー層などの移住者が増えている。
その魅力や働く価値について、
現地取材をもとにお伝えしたいと思う。
ニセコ町と観光地ニセコの違い

世界に知られるスノーリゾート「ニセコ」は、ニセコ町に限らず広域エリアを示す言葉として広く使われている。
倶知安町、ニセコ町、蘭越町の3町で構成する「ニセコ観光圏」という括りもその一つ。
倶知安町のひらふ地区、花園地区、ニセコ町の東山地区、アンヌプリ地区、モイワ地区が国際的スノーリゾートの中核で、蘭越町側に行くほど個性的な温泉が楽しめる。
ニセコ町いろいろランキング
初回選定
ベスト・ツーリズム・ビレッジ(2021年)
※国連世界観光機関(UNWTO)により世界44カ所、国内2カ所の認定のひとつ
全道10位
市町村別訪日外国人宿泊者数(2023年度)
全国の先駆け
地主所有農場を小作人に開放(1922年)
※有島武郎の有島農場
全国初
自治基本条例施行(まちづくり基本条例)(2001年)
全国初
水資源保全条例施行(罰則付き、ニセコ町水道水源保護条例)(2011年)
全道1位
年少人口増加率(15歳未満)(2021年)
全国6位
新規法人増加数(2021年)
初回選定
SDGs未来都市(2018年)
※内閣府地方創生推進室により全国29選定都市の認定のひとつ


スキー・スノーボード・バックカントリー・スノーシュー
ほぼ毎日パウダースノーが降る世界有数のスノーリゾート。5月上旬まで利用可能で、初心者から上級者まで満足のいく環境が揃う。スノーシューでの自然ガイドツアーも感動大。

ハイキング・トレッキング・登山
アンヌプリ山頂からの眺望や、高山植物の可憐さに出合える登山。ゴンドラを利用し山頂駅から出発する自然ガイドツアーも人気だ。

熱気球係留体験
ニセコアンヌプリ国際スキー場の駐車場を会場に、係留での熱気球体験が可能。地上30mから見渡す絶景の思い出が残る。

サイクリング

ホースライディング

ラフティング

フィッシング

温泉
いくつもの源泉が湧くニセコ連峰。「美肌の湯」と呼ばれる泉質や成分が多いのが、この地の特徴で、リピーターが絶えない。
詳しくは、
ニセコ町内の観光案内所へ

道の駅ニセコビュープラザ 観光案内所
TEL.0136-43-2051
JRニセコ駅 観光案内所
TEL.0136-44-2468
ニセコ町の冬を過ごしてみた印象、感想は?

- 雪シーズンは、11月から翌年の4月まで。寒さは厳しくないが、雪が2m積もる。(20代)
- 昔に比べて雪は少ないですよ!(40代)
- 様々な雪対策に驚いた。家が山まで近いので、気軽に滑りに行ける事が素晴らしい。訪日客のマナーがもう少し良くなることを願います。(40代)
ニセコ町に住んで、ビックリしたことは?
- 人口わずか約5000人の小さい町で、外国人の割合が約10%を占めていること。(20代)
- ジャガイモがおいしい!外食できる店が近場に少ない!(20代)
- 車なしでの生活は難しい。秋になると道端にかわいいカボチャが飾られる。(20代)
- 札幌や小樽に比べて除雪がきれいすぎること。近所のスーパーが少ないこと。(40代)
- 自然が豊富ですが、車がないと少し不便です。(20代)
- 水がとても美味しい。夜は早く店が閉まり、ここまで出歩く環境がないとは思わなかった。(40代)
ニセコ町の交通事情についての印象は?

- 横断歩道がやや少ないと思います。(20代)
- スピードを出す車が多く、車道を横断する際は注意しています。(20代)
- 電車やバスが少ないので、車がないと少し不便だと思います。(20代)
- 車中心生活なので公共機関について不満はない。(40代)
- バスも電車も少ないため、車がないとどこかへ出かけるのは不便と感じる。(20代)
- 高齢化が進むので、自家用車以外の移動手段は今後担保すべきと思う。(40代)
物価が高い(ニセコ価格)といわれますが、生活コストの印象は?

- 流れている情報よりはるかに高いとは思えません。(20代)
- 安くはないけど噂ほどは全然高くはない。(40代)
- 物価高を理解した上でも、都市部に比べ高いと感じる。(40代)
- 物価のほか、水道料金や電熱費も高いと思います。札幌よりも高い気がします。(20代)
- 外食すると少しかかりますが、日常生活上には特に高いと感じることがない。(20代)
- ひらふ地区ならかなり値上げされている気がします。ニセコ町内ならそんなに影響がない。(20代)
ニセコ町って国際的だ!と思った点は?

- 11月から外国人が急に増えてきます。(20代)
- 冬時期の訪日客は多いが、国際的だと思ったことはほとんどない。(40代)
- 町に来た人に外国人が多い。インターナショナルスクールがある。国際交流員の出前授業が小中学校で行われている。ニセコ町の人が開放的な世界観を持っている。(20代)
- 外国人の人口の割合が高いからか、外国人に対する理解が東京などよりもよい。(20代)
- 国際的なイベントや外国人と交流する機会がたくさんあります。(20代)
- 高校生以下の学生さんにハーフの方がたくさんいる。(40代)
ニセコ町で暮らしてみて、家族・友達に一番自慢したいことは?

- 大自然に囲まれていて、いろいろな国の人と出会えて交流できること。(20代)
- いろんな人と交流できる楽しいイベントがたくさんあり、ニセコ町の人たちはみんなとても親切です。(20代)
- とにかく自然が豊かで空気がおいしくて、野菜が美味しいこと。(40代)
- 自然が豊かで、山までの距離が近い事。水が美味しい事。野菜や山菜が豊富である事。星がきれいである事。(40代)
ニセコ町のお気に入りの景色や場所は?

- 野菜直売所のビュープラザです。(20代)
- 天気がいい日の夕焼けと冬の羊蹄山は本当にキレイです。春に道端で咲くルピナスも可愛くて気に入っています!(20代)
- 有島記念館がお気に入りです。館内にはカフェもあり、きれいな景色を眺めながらゆっくりくつろげます。(20代)
- 心が整うので畑で農業バイトしてみて欲しい!(40代)
- 有島記念館、登山する(アンヌプリ山など)、ハロウィーンイベント。(20代)
- 空気が澄んだ時に空を見上げてほしい(昼夜問わず)。(40代)

自然の魅力にあふれるニセコ町。
ここで暮らすには、どんな就職先があるのだろうか。
まずは地元の公共交通機関、ニセコバスを紹介したい。
冬になると、世界各地からパウダースノーを求めて、新千歳空港や鉄道駅からニセコ観光圏へスキー客が集まってくる。この移動のために、活躍するのがニセコバスだ。

冬は、ニセコユナイテッド(ニセコ観光圏の4つのスキー場)を結ぶ路線バス「ユナイテッドシャトル」が大活躍する。
札幌圏の交通拠点からニセコまでの路線や、ニセコユナイテッド(ニセコ観光圏の4つのスキー場)を結ぶ路線を運行している。乗務員には自動翻訳機を支給し、外国人の乗客から質問があった際でも、意思疎通ができるようにしている。
この路線のほか、ニセコと日本海方面、太平洋方面を結ぶ路線バスを運行し、生活にも密着するニセコバス。高齢者が増え、運転免許返納者が増える地域社会に欠かせない存在だ。ニセコ町内においては、スクールバスやデマンドバス(にこっとBUS)の運行も担い、地元の人々の大切な移動手段となっている。
冬は、スキー客向けに路線が増え、雪道の緊張感、急な悪天候などもあり、ハードな面もある。しかし日頃のチームワークの良さで課題を解決。1年目でも安心して仕事ができる。また、春・夏・秋は、ゆったりした時間の流れや、山々と田園の美しさが感じられ、移住した乗務員の満足度は非常に高い。
安心安全な運行への誇り、そして人々の暮らしを支え、感謝の声や笑顔を受けられる、やりがいのある仕事。それがニセコバスの乗務員である。

路線バスの車窓から、ふと遠くを眺めると見事な眺めが視界に入る。

会社負担で大型2種免許を取得、先輩たちのフォローも温かい
バス乗務員 山本 宜佳さん
1983年生まれ 2020年から勤務
元々ドライブが好きで、自然豊かな場所で働こうと考えたときに、見つけた求人票がニセコバスのものでした。
バス運転に必要な大型2種免許は、会社の負担で教習所に通って合格できました。勤務が始まってからも、先輩からいろいろ教わったり、フォローしてもらったり、本当にニセコの人々は温かいな、と感じました。
入社して4年が経ち、地域のみなさんの「足」として責任を感じつつ、バス乗務員になれてうれしいと感じています。
1日の流れとしては、朝7時前には出勤し、自分が運転するバスの点検ということで、タイヤや電気系など決められた項目のチェックで始まります。次に点呼、ということで、アルコールチェック、注意点の確認、運行ダイヤの確認を行い、乗務を開始します。お客様や他の車へ注意を払いながら安全第一で運転し、1〜2往復した後、帰社して休憩して、この乗務と休憩を終業時間まで続けるのが基本です。
人間関係や情報共有がしっかりしている会社で安心して働ける職場です。個人的には、ニセコ町の道の駅や農家の軒先などにある直売所の野菜がおいしくて、休日に立ち寄るのがとても楽しみです。

65才定年と住宅支援がありがたい、仕事が楽しい
バス乗務員 清水 文彦さん
1967年生まれ 2024年から勤務
バスが大好きで、バス乗務員は天職と感じていて、長年、長野県白馬村でバス乗務員をしていました。白馬もスキーやスノーボードで国際大会が行われるスキー場があり、温泉もあちこちにありまして、ニセコと環境はとても似ているので違和感はありません。
ニセコ町に移住しニセコバスへ転職したきっかけは、北海道出身の妻が他界したことです。生きているうちに北海道でバスの乗務員をしたかった、という思いがこみ上げ、三回忌を迎えた時に早期退職し、北海道の求人を探しました。その中でニセコバスと出合い、65才が定年、再雇用で70才まで働けることと、会社が賃貸物件を借り上げて家賃は会社が半額負担になる住宅支援が決め手で、入社に至りました。
職場は雰囲気もよく、入社して本当に良かったと思います。交通事情が違うのも安心です。長野では東京や大阪とスキー場を結ぶ深夜直行バスがありまして、シーズン中は何日も、都心部付近で数十キロの渋滞に遭うのがストレスでした。ニセコは道幅もゆとりがありますし、スクールバスも、デマンドバス(にこっとBUS)も、千歳からのスキーバスも、地元や外国人のお客様に手を振るのも、何をしても楽しいです。

滞在型のリゾート地であるニセコエリアには、ホテルやペンション、ゲストハウスなど多様な宿泊施設がある。
ここで働く人々に、仕事について話を聞いてみた。
ニセコ町の北部にそびえる標高1308mの名峰・アンヌプリ。その南西麓にニセコエリアで3番目にリゾート開発され、昭和47(1972)年にオープンしたのが、現在のニセコアンヌプリ国際スキー場だ。スキー場の麓には小規模なホテルやペンション、飲食店からなる集落があり、自然と調和するような落ち着いた時間が流れる。

メタケイ酸(肌の保湿に有効な成分)が1ℓ中に248㎎含まれる、道内トップクラスの美肌の湯
観光客でにぎわい、きらびやかな倶知安町ひらふ地区とは対照的な印象だ。その集落を通り抜け、ゲレンデを右手に進むと突き当りに見えてくるのが「いこいの湯宿 いろは」。アンヌプリ国際スキー場と同じく、北海道中央バスグループの中央バスニセコ観光開発株式会社によって運営されている温泉ホテルだ。スキー場まで徒歩8分というアクセスの良さはもちろん、和のテイストをベースにしたモダンな館内や地元食材をふんだんに使用する食事、敷地内に湧く質の高い温泉でも評価が高い。森と星空の眺めが美しい源泉かけ流しの露天風呂には、時折、野生の小動物が顔を出すこともあるという。
そしてもう一つ忘れてはいけないのが、随所に光る「もてなし」の心。それはスタッフのさりげない気配りによるもので、品よく落ち着いた対応が印象的だ。アンヌプリという地域の空気感を大切にする宿。それが「いこいの湯宿いろは」である。

客室は、洋室や畳の小上がりのある和洋室、布団敷きの和室などさまざまなタイプから選べる。

恵まれた環境を楽しみながら仕事に取り組めます
ニセコ温泉郷 いこいの湯宿 いろは
支配人 濱田 隆文さん
「いろは」は、和のスタイルとモダンデザインが調和する大人の空間。29室とこぢんまりしており、スタッフがお客様一人ひとりの顔を見られる、程よいサイズ感です。
ニセコエリアの中でも、日常を離れた静けさやくつろぎを求めるお客様に選ばれており、冬季は外国人のお客様も多いですが、道内や本州から季節を問わずリピートしていただけています。
グリーンシーズンは、いろはの前にある「ニセコ町森林公園」での朝の散策がおすすめ。森や花、鳥たちの声に心が安らぎます。さらに坂を下って「八海山」で知られる新潟の酒蔵・八海醸造のニセコ蒸溜所での工場見学や試飲もいいですね。
従業員の福利厚生面では、アンヌプリ国際スキー場と同じくホテルのそばにある完全個室の寮に住むことができます。温泉利用とリフト券が無料なのもお勧めのポイントです。森の中にあるので移動は車に限られそうですが、ホテルの目の前にあるバス停から便数は少ないものの近隣の市街地行きや札幌方面、冬季は新千歳空港への直行バスもあるため、車がなくても思ったほど困らないようです。
こうした素晴らしい環境を、社員自身が楽しみ尽くしています。

お客様との距離が近く密なやり取りがやりがいにつながります
ニセコ温泉郷 いこいの湯宿 いろは
フロントスタッフ 澤田 哲兵さん
1995年生まれ 2013年から勤務
小学生のころから倶知安町に住んでいます。高校時代に地元レストランでのアルバイトを通して接客の楽しさを学び、就職もお客様と直接関われる仕事に…と思っていた時に「いろは」の求人に出合いました。
当ホテルは小規模な分、お客様に接する機会が多く、一人ひとりとお話しする時間が長いと思います。毎年来てくださる方だと、お互い顔を覚えているくらいです。この距離感がとても心地よく、仕事の楽しさの一つです。同じ理由で職場の雰囲気も皆仲がよく、壁がないと感じます。季節ごとにスタッフが入れ替わりますが、新しく来た人でもすんなり溶け込める雰囲気があると思います。
お客様の層は季節でガラッと変わります。夏は国内からのファミリー層が、冬はアジアをはじめとする海外からの方が多いです。冬は外国語対応ができるスタッフも常駐していますが、私が対応することも。仕事を通して簡単な英会話は身に付きますし、身振り手振りでコミュニケーションは何とかなります。
チェックアウトを終えたお客様が「いいホテルだね」と言って笑顔で帰っていくのを見送ることが、何とも言えないやりがいを感じる瞬間ですね。

お仕事拝見第3弾は、スキーリゾートの運営・管理に関わる人たち。
冬はスキー、夏は各種アクティビティと季節でメリハリが付くのが大きな特徴だ。
上質なパウダースノーと充実した施設で世界的に知られるスキーリゾート・ニセコエリアで、ニセコアンヌプリ国際スキー場は緩やかな斜面が多くあり、初心者も上級者も楽しめると評判が高い。

安全で快適なスキー場をスタッフが陰で支えている。
冬のスキーだけでなく、夏のアクティビティも充実している。その一つがMTB。常設のダウンヒルコースは、プロライダー監修のもと、スキー場の斜面をできる限り生かした本格的なもの。ゴンドラ山頂駅からノンストップで下る全長2750mのコースからは、ニセコアンヌプリの雄大な自然を堪能できる。夏のアクティビティで、もう一つポピュラーなのが登山。とは言っても重装備で臨むものではなく、ゴンドラ山頂駅から約1時間でアンヌプリ山の山頂を目指す、比較的軽いトレッキング。登山道が整備されているので道迷いの心配がなく、眺望と美しい高山植物を愛でながら、気軽に登山を楽しめる。
こうした遊びのフィールドが目の前にある環境のため、ここで働くスタッフは例外なくアウトドアアクティビティの愛好者だ。福利厚生として、スキー場のリフト・ゴンドラ利用が無料というから、余暇はスキー・スノボ三昧。隣接するホテル「いこいの湯宿 いろは」の温泉利用も社員割引があり、アフターケアまで至れり尽くせりの待遇なのだ。

登山やMTBの起点として夏季もゴンドラを運行している。

アウトドア好きにはこれ以上ない環境です
ニセコアンヌプリ 国際スキー場
支配人 田中 謙吾さん
ニセコのパウダースノーは世界に認められ、多くのインバウンド客が来られています。ニセコアンヌプリの広大なフィールドには4つのスキー場があり、「ニセコユナイテッド」として全山共通券を運用しており、スキー場にはそれぞれ特色があります。当スキー場は国内のお客様の比率が一番高い。ゲレンデも広く、家族連れや初心者の方でも楽しめるスキー場です。山麓ベース部にある速度を低速に抑えた初心者向け4人乗りクワッドリフトが人気です。スキー場周辺には、ニセコ町の景観条例によって高い建物はなく、昔ながらのペンション文化が残っています。訪れるお客様は、賑やかなリゾートではなく、静かな別荘地のような感覚で選んでいただいていると思います。私は当社に就職しスキー場リフト部門、ショップ部門、レストラン部門、営業部門などを経て現在に至ります。地域そのものに未来があり、職場にもチャンスがたくさんある。夢を持てる職場だと思います。わざわざ留学しなくても英語を覚えられるメリットもあります。何より私もそうですが、フィッシング、登山、MTB、スキー、スノーボードなどアウトドア好きには特におすすめです。

寮生活の楽しさが忘れられません
ニセコアンヌプリ 国際スキー場
索道スタッフ 神田 茂和さん
1982年生まれ 2021年から勤務
福岡県生まれの私は、大学卒業後に就職してスノーボードにハマりました。好きが高じて山ごもりしてひと冬を過ごすことに憧れ、噂に聞いていたアンヌプリ国際スキー場で冬期アルバイトを始めました。以来、ここで毎年冬を過ごすのが恒例に。当初はリフトスタッフでしたが、不足していたパトロールスタッフも担当。スキーは未経験でしたが、先輩が後輩に教える社風があり、ていねいにレクチャーしてもらえるのですぐに上達できたんです。けがをしたお客様を自ら救助する体験を通して、仕事への強いやりがいを感じて通年働くようになりました。3年前から正社員になり、今はアルバイトを指導する立場です。勤務終了後のひと滑りが爽快ですね。
従業員は敷地内の完全個室の寮を利用できます。トイレ・風呂・台所は共同、寮費には水道光熱費と食費が含まれます。市街地から離れているので日々の買い物には不便ですが、ちょっとしたものはホテルの売店で買えるので苦にならない。むしろムダな買い物をしないので、お金が貯まります。寮には冬季のアルバイトが全国各地から集まります。その交流が楽しく、居心地も良いので8年も居てしまいました(笑)。
ニセコ町の魅力は、景色と人柄
地域おこし協力隊として移住し農家で独立した、中村大佑さん。
世界のあちこちを旅してニセコ町に落ち着いた、その理由とはどんなものなのだろうか?

農家 中村 大佑さん(37才)
中村さんは石狩市出身で、大学卒業後は横浜市の半導体関連企業に勤め、台湾・韓国・中国を渡り歩く国際派ビジネスマンだった。
主に新規工場立ち上げでクリーンルーム設置を担当していたのだが、昼夜を問わないハードワークが続く日々に、長くは続けられない仕事、と感じていた。一念発起し、5年勤めた会社を辞めて世界へ放浪の旅に出る。各地で働き旅費を稼ぎながらの旅は3年におよぶが、なぜか和食が恋しい思いがこらえきれなくなり、日本に戻ることにした。
帰国後も国内を放浪。ヒッチハイクで北海道から長崎県の五島列島までを往復、という冒険の旅を決行した。世界に誇れる日本の絶景にいくつも出合ったが、結局、旅の序盤・北海道で見た羊蹄山の風景が忘れられず、「ニセコがいい、田舎で暮らすなら農業をやりたい」と旅路を振り返り自分の進む道を固めることができた。
北海道に戻り、ニセコ町役場に農業の仕事の相談をしたのが、2016年。そのタイミングで仕事はなく、真狩村で農家の手伝いを始めるが、翌年にニセコ町で地域おこし協力隊の募集があり、これに応募し採用となった。農業、畜産、林務の現場を手伝いながら、独立準備を進めるが、移住者や農家の先輩たちから気にかけてもらったことが心強かった。そんな中、仲良くしてくれた農家の先輩から農地を譲ってもらうことになり、協力隊の任期を終えた2021年春に独立する。
「ニセコにない品種にどんどん取り組みたい。先輩たちと同じものを作ったら叶わないので」と、将来に意欲的な中村さんは、第一子が生まれてまだ半年。大きくなった子どもたちにきっと「世界をあちこち回ったけどニセコが世界一」と伝えるに違いない。

1980年に人口減少が下げ止まって以来、ゆるやかに人口が増えているニセコ町。長らく空き物件に余裕があまりないまちだったが、2022年から新たな宅地を造成し、住み替えや移住などの住宅ニーズに取り組んでいる。
ニセコミライと名付けられたこの造成地は、市街地の南東にあるニセコ町運動公園に隣接し、羊蹄山の眺めが美しいロケーションが魅力。「冬も暖かい家」「除雪などがラクな維持管理」「菜園やイベントなどの楽しいコミュニティ」…そんな理想のニセコライフを叶えるべく住宅ブランドの建物を地元工務店が施工しており、分譲住宅、賃貸住宅、将来的にはシェアハウス等、多様な世帯が暮らせるような様々な間取りの集合住宅整備を行う。
建物は、次世代基準の木造在来工法で建てる長寿命住宅。壁の内部と外側に断熱施工したダブル断熱、床下断熱、3重ガラスの断熱窓、C値0.2㎠/㎡以下の高気密性、第1種熱交換換気システムなどにより、断熱等級「7」を満たすという。部屋が複数あっても1世帯にエアコン1台のみで冷暖房を担う優れもの。太陽光パネルや蓄電池も備え、光熱費は年間を通して月額1万円を切る生活も可能だ。
この新街区事業は、ニセコ町が2018年「SDGs未来都市」に選定された際の中核事業で、官民出資で設立したまちづくり会社「株式会社ニセコまち」によって推進され、同社がこの新街区の造成から管理を担っている。2025年から第2工区も工事が進み、新たな賃貸と分譲住宅を計画中だ。ニセコミライでの暮らしに興味のある方は、「株式会社ニセコまち」に一度ご相談いただきたい。

株式会社ニセコまち
ニセコ町字富士見168-2
(運動公園スポーツ管理棟2階)
TEL.0136-55-6087
受付時間:午前10時~午後5時
(土・日・祝日・年末年始等を除く)

ニセコ町移住定住相談員 奥田 啓太さん(移住者・町内起業者 ニセコ町地域おこし協力隊OB)
なぜニセコ町は、
子育て世帯の移住が多い?
ニセコ町全体の人口は約5千人ですが、ゆるやかに増加しています。特に30~40代の子育て世代の移住者が多く、同世代が集まりまちのよさを友人たちへ広めているようで、年少人口(15歳未満)の増加率は、北海道の市町村で1位になりました。
ニセコ町への移住相談をいただくのは、スキー・スノーボードが好きな方、または自然の豊かさや景観の美しさに憧れる方が多い、と感じています。また、ここは外国人観光客がよく訪問する地域なので、大都会にいなくても外国語スキルを活用できる仕事やインターナショナルスクールなどの多様な教育機会があることも魅力でしょう。
正直ニセコ町の移住支援は助成金制度で見ると他の市町村に及びませんが、地域への誇りや愛着、地域社会の向上に関わる気持ちを高めるような場所づくりや仕組みの整備は進んでいると思います。
例えば、子どもたちがまちづくりに参画する「子ども議会」での提案がきっかけで、町立学校のエアコン導入が進んだり、高校では起業について学ぶなど、大人も子どもも自ら考えて行動する町民気質が育っています。景観条例や環境モデル都市など、SDGsを先取りした町の取り組みに共感する移住者も多く、プラスチックのストローを使わない飲食店も多いなど、環境意識は欧米レベルに近い気がします。
移住を希望されていても、車社会や雪の生活など大都市の生活とは大きく違いますので、ミスマッチにならないよう、まずはニセコ町移住相談窓口へご相談をおすすめします。

こども医療費助成
ニセコ町に住民登録がある18歳までのお子さんが、登録申請により受給者証を受けることで、道内の医療機関での保険適用診療について、無料(自己負担なし)で受診できます。
児童手当
0歳から18歳までの子どもを養育している方に支給されます。1人当たり月額支給額3歳未満15,000円、3歳から18歳まで10,000円(第3子以降は18歳まで30,000円)
乳幼児の健診と予防接種
乳児~5歳児までの健康診査、歯科健診・フッ素塗布などのほか、混合ワクチンの定期予防接種、就学前のおたふくかぜや高校生以下のインフルエンザ予防接種を指定施設利用で全額助成します。
産後ケア事業
出産後、退院した直後はおっぱいのトラブルも多い時期であり、育児への不安なども増してくる時期です。産後1年未満のお母さんとお子さんを対象に、助産師が自宅を訪問し、母子のケアや授乳指導、育児相談を承ります。
育児セミナー
子育てをするママパパたちの交流や情報交換と離乳食のコツなどの紹介をしています。年3回の開催で、実施月に3~12カ月のお子さんと保護者が対象です。
乳幼児健康相談
主に2歳児を対象とし、発育、栄養、生活習慣、子育ての不安などの相談を年2回行っています。
あかちゃん訪問
生後1カ月前後のあかちゃんがいるご家庭を訪問し、出産後の体調やあかちゃんケアなどの心配事について相談を承ります。
羊蹄山ろく児童発達支援事業
お子さんの発達をより順調に促すために親子で通う療育センタ-です。お子さんの発育状態に合わせて、利用回数を決めます。
ブックスタート
お子さんと保護者の方が絵本を通じて向かい合い、楽しい言葉のひとときを持てるよう、8~10カ月のお子さんに絵本をお渡しします。乳幼児健診にて、該当月にお渡しします。
子育て短期支援事業
保護者の都合(病気や事故、出張など)により、ご家庭でお子さんのお世話(養育)が一時的に困難となった場合、事前申請することで児童養護施設へ利用料を支払って、お子さんを預けられる制度です。
ファミリーサポートセンター事業
子育てを【手伝って欲しい方】と【応援したいサポーター】が会員となって、子どもの預かりや送迎などを有償ボランティアで行い、地域のみなさんで子育てを支えあう取り組みです。
子どもにやさしいまちづくり(CFCI)
「ユニセフ日本型子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)実践自治体」として、子どもにやさしいまちづくりを進めるほか、「子ども議会」や「子どもまちづくり委員会」などの活動を通して、子どもたちがまちづくりに参画します。
放課後こども教室
小学生が放課後に安心・安全に集い、体験や遊びを行える居場所づくりを行っています。
ニセコ町幼児センター「きらっと」
幼稚園、保育所、地域支援センター「おひさま」の3つの機能を一体化した地域の子育て拠点施設です。「おひさま」では、小学校就学前の子どもとその保護者を対象に、遊び場の提供や交流会など、様々な子育てサポートを行っています。
ニセコこども館
保護者の就労等により放課後や夏休みなどに家庭が留守になっている小学生の為の学童保育を行っています。
インターナショナルスクール
国際観光リゾートの教育ニーズに応え1校が開校。小規模な町に開校しているのは全国的に珍しい。2025年春には、さらにもう1校が開校予定。